前田慶次郎物語〜利家に水風呂を馳走する〜

前田慶次郎殿からの投稿

初めて書く小説なので変な所もあると思いますが許して下さい。
後この小説は一応史実に乗っ取って書いていますが史実と違う所もあると思います
許してくださいよろしくお願いします。

 
「今日こそ叔父上の鼻をあかしてやる」
 前田慶次郎は決意していた。
 先日 義父の前田利久が病にたおれ帰らぬ人となった。
 慶次郎の義父、利久は尾張荒子城主、前田利春の嫡男で利春が没すると
その後を継いで前田家当主となった。慶次郎は滝川益氏の庶子で利久の養子になり
その後を継ぐはずであった。しかしその頃仕えていた織田信長が
利家に家督を譲るよう命じられる。
そして利久・慶次郎親子は追放となった。
 しかも慶次郎は天性の傾奇者であったため、
叔父・利家から口うるさく説教されていた節も有り、
おもしろくは無かった。
「叔父上も昔は傾奇者だったではないか・・。」
 慶次郎は決意した。
 前田家を出奔して自由気ままに暮らしてやろうと・・。

 天正一八年の冬のある日。
「今日よりこの慶次郎、心を入れなおし真面目な人になりたいと思います。
故に迷惑をおかけした叔父上に茶の一服を差し上げたいと思います」
慶次郎は秘策を胸に込め利家を屋敷に呼んだ
「あの慶次郎が心を入れ替えるとは・・真に良いことじゃ」
利家は嬉々として慶次郎の屋敷へ向かった。
「叔父上お待ちしておりました。ささ・・どうぞ上がってくだされ」
「うむ」
もともと慶次郎は文学を好んでいたので手際よく茶を立てて利家に馳走した。
少しの間、あーだこーだと会談し、慶次郎が遂に切り出した。
「叔父上。今日は外も寒く足もお冷えになられたようなので、
風呂など御召しになってはいかがでしょうか?」
 利家はまた嬉々として
「うむ、今日のような寒い日は風呂が一番の馳走じゃ、よし入るか」
と言い風呂場へ向かっていった。
そして利家が着物を脱ぎ いざ風呂に入ろうと戸を開けた時・・。
 利家は愕然とした。
 沸いているはずの湯は氷のように冷たく、
窓の隙間から寒風がヒュ−ヒューと吹き込んでいた・・。
 利家は呆然と立ちすくんだ。
 利家の意識は冷たい隙間風によって呼び起こされた。
そして顔を真っ赤に染めて供の者達に叫んだ。
「慶次郎の奴を逃がすな!追いかけて捕まえろ!」
その頃慶次郎は繋いであった、愛馬・松風に乗ってほくそえんでいた。
「叔父上・・・これから私は傾奇者として自由に生きていきます・・」
そうして 家族も、五千石の領地も皆捨てて慶次郎の自由気ままな生活が始まった
   
END




投稿本当にありがとうございました。

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